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青年海外協力隊員の、派遣中の健康管理と出処進退について。

 

14 June, 2008

Kensuke Yamazaki

 

 拝啓 国会議員の方々様、マスコミの方々様、公益NGOの方々様

 

 青年海外協力隊員の、派遣中の健康管理と出処進退について、提案いたします。

 

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 2年間の経験者として(11年次)、隊員にとってもっとも大切な「帰国直後の数年間」の振舞い方につながる、参考になりそうなことを書き留めます。

 特に、現役隊員の方々は、何らかの参考にしてくだされば幸いです。

 

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1、協力隊員の、現役中の健康について。

 

 派遣中は、まじめで熱心な隊員ほど、撤退するのが苦手な負けず嫌いな隊員ほど、無理をしてまで滞在しがちです。

 結果的に、体に相当な負担をかけます。多少の故障でも無視して続けてしまいます。

 

 ほかにも、無理をしても続けられる、または続けることを周囲に望まれる要素があります。

  

1−A、本人の要因;

 肩書きと仕事があること。

 1時帰国に制限があること、めったに無い(撤退したら似た再現が難しい)雇用機会であること。

 派遣中は、派遣元(JICA)から、まがいなりにも公的機関としての、余裕ある豊かなサポートがあること。

 隊員同僚や派遣先同僚とも、特殊な環境状況下での、濃密なつきあいがあること(良くも悪くも)。

 最低限の義務をこなせば、査定も無く所得と生活が安泰であること。

 

1−B、他発的な理由;

 JICA側(特に調整員)は、組織の維持、職員の雇用の維持のために、大勢帰国されると困る。(予算やポストが減る。)

 血液を輸血する関係ということが、隊員同僚同士が、互いの帰国をある程度心理的に牽制しあう原因になる。

 隊員同僚、JICA職員・調整員を問わず、日本人が減ると、さみしくて心理的につらい、耐えられないタイプの人たちがいる。

  (特に本人は、滞在し続けたくて、しかも他人に甘える寂しがり屋の人たち。)

 現地受け入れ国側にとっては、金のなる木だから、隊員に帰ってほしくない。

 

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2、対策提案(立法府・行政府)と助言(現役隊員の方々);

 

2ーA、他発的な要因への対策;

 JICA側は、先進国基準での安全な血液を輸血できない国には、隊員を派遣しないようにする。

 大使館レベルの話だが、援助をする国には、まずはじめに、首都1箇所でいいので、安全な血液がある病院作りの援助をする。

 その場合でも、現地側の病院管理能力を信用できない場合は、大使館に、十分な血液のストックと、医務官または看護師を置いておく。

 

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 査読論文(経営行動科学)でも書いたが、国会、自治体、マスコミ、国民を巻き込んで、JICA組織の肥大のための派遣防止する

 リストラ後のJICA職員や調整員などの、再就職への内需雇用を増やすために、景気を拡大させる経済政策や国内公共事業、最低限の生存のための福祉は充実させる。

 彼らがJICA雇用にしがみつかないように、給料も民間中小企業と同程度にする。

 

 「寂しがり屋」対策としての、外務省・JICA側の組織人事マネジメントの改革方法については、人材育成学会の07年大会論文などに報告してある。

  

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 隊員の帰国時期は、日本国家と本人の自由であることを、契約文書の上で、相手国側と受け入れ先に明記する。

 現在の日本の財政状況で、2年派遣は長すぎるので、派遣は、最長1年にする。

  (2年派遣は、よほどうまくいっている事例の、例外としての「更新」、のみとする。)

  

 あまりに過度の格差があるところ(地方)、現地の人々に余裕の無い所、は、隊員のような初心者は向かないので、ある程度余裕のあるところ、(首都近郊や第2都市周辺)にのみ送る。

 超貧困地帯を隊員が見るのは悪いことではないが、出張で十分である。

 

 そのような超貧困地帯は、隊員のような、力の無いミクロな援助では焼け石に水になるだけである。外務省やJICA本体、当事国政府自体、そして国際機関がマクロで扱う対象である。

 

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 1時帰国は、1回は、任期の中間の時期に公費で10日間ほど認める。自費ならあと2回は10日間ほど認める。1時帰国中の日数は、派遣日数に含めないようにする。 

 (ただし公費帰国は、帰省先までの交通費のみ。帰省先が無い人には、東京のJICA施設での宿泊と食事を提供する。日当は帰省先内または都内交通費の、日1,500円で十分。)

  

 現地で医療技術が足りない分野での、医療帰国1回、加えて、遠方シニア隊員による、付近の先進国(中南米から合衆国、アフリカから欧州)への医療滞在1回は、保険診療に値する傷病の場合は、公費で認める。保険診療以外は、私費で認める。

  医療帰国の限度は、20日間、シニアによる合衆国欧州滞在の場合は、応急処置5日間のみとする。(任期には含まない。)

  入院の場合は入院・食事費用+日当500円、通院の場合は、医療費以外は、一般公費帰国に準じる。

  期間内に直らない大きな傷病は、解任し、また再受験してもらう。

 

 ただし、医療帰国は、不正利用されないように、現地での医師の診断、日本や滞在先進国での医師の診断を義務付ける。公金を出す場合は、個人名や生年月日以外の、年齢、性別、派遣国、派遣都市、職種、使用した公共予算、本人の医学的情報、などすべての情報は公に、JICAのネット上で公開する。

 

 ひとつの雇用で、医療帰国は、最大2回までとする。それ以上故障する人は、縁や運も含めて、何か相性が悪いということだから、やはり解任して、また別の案件で再受験してもらう。

 

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 また、派遣先が合わなくて辞めた人に対して、正当な理由があれば、将来の再受験で不公平はしないことを、JICA側は、募集要項に明記する。そして実際に公平に選考する。

 1次の筆記試験は、たいしてかわらないので、英語適正や、一度受けた専門の同分野の職種は、再受験を免除する。

 つまり、1時の合格通知をもらった以上の人は、同分野での1次の再受験は免除されるようにする。

  他分野を受ける場合も、専門以外の英語適正は免除する。

 

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 憲法や法律の、職業選択の自由と移動の自由、個人の人権の部分は、訓練中に、条文を見せて、声を出させて読ませるカリキュラムをもうけ、他の隊員同僚の行動を規制しない(非合法なことはしない)、ことを周知させる。

 JICA職員や調整員も、雇用時の教育に、同様のことをさせる。

 これらについては、署名付の誓約書も出させる。

 

 現地での仕事を続けたいが、同僚がいなくなるのは嫌だ、という葛藤に立つ隊員が出てくる場合、(同僚がいれば現地に滞在するが、同僚がいなくなったらさみしくて耐えられないので帰らざるを得ない、という勝手な人。)を想定して、

 そういう時には、「自身」と「同僚」と「現地の人々」を心理的に分離して認知させ、

  「現地の人々」より「同僚」を優先すること、「自分ひとりの力でできない他力本願なことは、あきらめること。」、「自分の幸せややりたいことは、自分の力だけで、まず実現すること。」、「現地の人々を助けることに、責任を負っているのは、現地の政府や外国政府などマクロな機関であり、たまたま異邦人として訪れた、力の無いミクロなあなた本人ではないこと。」を認知し行動するよう、有能な精神科医や臨床心理士などによる専門カリキュラムを取り入れて、訓練中に、各隊員に叩き込む必要がある。

 

 基本的に、「集団心理に物を言わせて、初心者を、アフリカや中南米など、不慣れでショックの大きい異文化に送り込むべきではない」、というのは、こういう現象につながるためでもある。

 「現地の人々を助ける」というきれいごとがあるがために、「世界の労働者を救う」というきれいごとのために凄惨な内ゲバをした、ソ連中国北朝鮮の共産主義集団や日本赤軍のような事態を、隊員同僚集団も引き起こす潜在的可能性を持っている。

 (実際、嫌がらせの意味では、十分ありました。)

 

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 所詮よそ者でそこに骨をうずめる覚悟など無いくせに、職務経験も浅いのに、いきなり金と権限を与えられて、現地の人たちの「救世主」的な立場に立つものだから、単に同僚(部下)との利害関係が一致しなくなっただけで、本人自身が混乱して、同僚(部下)におかしな言動や妨害をする隊員(職員・調整員)もでてくることになる。

  それがひとりふたりでなく、十人以上の集団になると、謙虚さすらなくなり、ますますそれが「正当な考え」だと思い込みだして、手をつけられなくなる危険性もある。

  (このあたりは、派遣中はもちろん、帰国後も同じである。)

 

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 たとえ、自身が現地でうまく行っていても、どれだけ他の同僚に近くに滞在してほしくても、他人を無理に巻き込むべきではない。

 雇用や学校で出会う人々はそれぞれ、もともとが、少なくとも直接は利害関係の無い、赤の他人である。利害が一致した時期だけ仲良くなっても、利害が崩れれば、「さよなら」と離れて、元の他人に戻り、ニュートラルな関係に戻ることは、仕方ないのである。

 むしろ、ニュートラルに戻る程度なら、「良質な形の」、相互に損の少ない、関係の終わらせ方である。

 

 公的な立場では、また将来会うこともあるかもしれないが、そのときは状況に応じて、職務範囲内の普通の対応をし、個人としてはせいぜい儀礼上会釈をすればいい程度である。

 (近年の若い世代には、儀礼の会釈すらしない風潮もある。)

 

 少なくとも、足を引っ張り合って、相互に損失を増やさせ、憎み恨み合い、攻撃と反撃をし合って損耗するより、よほどまともなことである。

 

 たしかに現実的には、誰かが中途帰国するときは、誰か別の人で、必ず損をする人が出てくるので、双方のうち少なくともどちらかが、一定に損をする関係は、時に避けられないときもある。

 しかし、比較比率の上にしろ、どちら側に正統性が無い、は、ニュートラルな状態より、より上に欲を描いているほうにある。つまり、法律や常識の最低限の必要性以上に、何かしろにしろ、直接の利害の無い赤の他人の状態「以上」に、相手に干渉をしていたり、相手から何かを期待しているほうに、落ち度があるのである。

  

 著者の場合、現地でもある程度、この種の呪縛の心理的負担を感じたが、むしろ帰国後に、このどちらの両方の立場も大きく経験した。

 著者に落ち度があってご負担をおかけした方には、お詫びを深く申し上げたい。

 逆に、嫌がらせをしてきた相手(しかも匿名でやる卑劣な人物までいた。)には、もう特に法的には水に流さざるを得ないとはいえ、今でも非常に不快であります。

 

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2−B、隊員本人の行動の問題への助言;

 

 とにかく無理をしない。傷病時には、現地で治療を受けるか、大きなものは、著者が提案した医療帰国制度が実現すれば、それを使用すること。  

 上記の提案のように、制度が改善されれば、途中帰国でも、再受験の不公平がなくなり、同分野応募なら、試験も面接以外は免除されることになれば、再受験もしやすくなる。

 

 血液問題や、隊員の他国への移動制限問題(パスポート制限問題)がなくなれば、帰国への同僚の有言無言の同調圧力もなくなる。

 

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 辞める、撤退する、は恥ずかしいこと、という風潮もあるが、決して間違いではない。

 

 世の中、根本は、理学部的な分析では、利益と損得である。

  「義理や人情」も、長い目で見た(長期の時間で見た)、利益と損得につながるから、大切なわけで、元来、「利益損得」の正反対語では全くない。

 

 悲しいことだが、世の中、本質は、誰も彼も、自身の利益を追求していて、他人の利益など2の次である。

 それは、きれいごとをいっているどのJICA職員・調整員の上司も、一見無邪気な同僚たちも、「一見無力に見えるが、余裕が無いがためだけの、現地の人々」も、根本は同じである。

 

 協力隊のような世界にいると、業務自体が徹底した利他的行為なので、当事者は非常に混乱するが、本質は、日本国家が日本の利益のためにやっていることである。

  (ひどいケースでは、JICA組織が、JICA組織の利益のためにやっている。)  

 

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 そして、どれだけ同僚や上司や現地の人々が、彼ら自身のために反対のこと(あなたの雇用継続)を期待しようと、あなた自身が、健康面で損をする、つらい雇用に、いつまでもしがみつく、またはつながれる必要など無い。

 

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 経済面でも、学卒すぐの隊員、新卒最初の雇用からの隊員にはわからないことだが、基本的に新卒機会の雇用を逃した以上、中途での再就職という、非常に不利な雇用機会からは、遅かれ早かれ逃れられない。

 

 協力隊の雇用に問題があれば、帰国時に若ければ若いほど、外国での消耗が少なければ少ないほど、次に待ち受ける、中途雇用(終身は珍しく幸運な場合のみで、たいていは一時しのぎ雇用と思ったほうがいい。)の壁を乗り越える可能性や、実力をつけるための準備期間が長くなり、再スタート状態もよくなる。

 

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 著者近辺の人たちの事例を述べる。

 中南米生活にうまく適応できず、1年で、その時はある意味不名誉な形で強制帰国をした隊員同僚がいた。帰国当初は孤独でみじめでつらかったであろうが、滞在が短かっただけに心身の損耗も少なく、回復後、もちろん本人が相当の努力をしてのことであるが、地方公務員に合格し、今は隊員同僚では比較的安定した、勝ち組の人生を送っている人がいる。

  

 また、あと数ヶ月で任期終了のときに、日本の普通の雇用募集をインターネットで見つけて、さっさと中途帰国したいさぎよい女性の人もいた。

 (結果的にその人は、その雇用募集では採用には至らなかったようだが、別の仕事をして結婚して人生を満喫している。)   

 

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 むしろ、2年間無理して燃え尽きた人たち、その中でも、コネ採用がまかり通っているJICAなどの援助団体での再雇用(当然数は少ない)に恵まれなかった人たちが、非常に心理的・または物理的に苦しんでいた。(私もその一人である。)

 

 経済的には恵まれるが、JICA関連雇用の人たちも、変な業務をして分不相応の大金をもらい、他雇用の元同僚たちと当然人間関係がうまくいかなくなり、顔つきまで変わってしまう人たちもいる。

 彼らは、JICA以外での雇用経験を積む機会が遅くなれば遅くなるほど、いずれリストラされた時、正常のまともな民間や公的雇用への将来の適応が困難になり、心理的にも苦痛になっていく。

 

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 しかし、JICAなどが抱える雇用に限りがあるのは、民主主義と財政の面でも明らかなのだから、

 基本的に、隊員は、多数が、(本来全員が)、JICA関連以外の一般の普通の雇用(しかも中途扱いで、その上、中途までの経歴もたいしたことない状態で)に対応できる、健康な状況で帰国しなければならない。

 

 積立金もすぐ尽きるので、そのための時間的にも、健康で消耗していない状態で帰国する必要がある。

 

 だから、無理をしてまで協力隊員をやるメリット、燃え尽きるまで協力隊員をやるメリットは、全く無いのである。

  

 著者が帰国後、ある公的研究機関での雇用で垣間見た、国家公務員など、正規の公務員や、大手の正規の会社員は、全然別である。

 仕事が原因の「燃え尽き」であれば、「過保護」なほど、公共機関の場合は、財政浪費といえるほど、身分保障の休職雇用や、中休み的な暇職雇用(研究所など)を、燃え尽きた職員に与えているのが、現実である。

 

 協力隊では、それがなく、任期後は「使い捨て」にされるのがオチなのだから、隊員は、映画「トロイ」のアキレスの言葉のように、「(上にいる)馬鹿のために無駄死にするな。」を念頭に、

 自身の健康を守る程度に、適度に生活大事でやり過ごすのが、本来一番なのである。

 

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 現在派遣中の青年協力隊員の皆さんは、上記のことをよくふまえて、各々の健康を大切に働いたほうがいいと思います。(現地の人のことなど2の次3の次にして、)。

 そしてある程度の負担(まだ余裕は、あるにはあるが、もう8割がた苦しい)に達したら、各々にとっての一番いい時期に、周囲は気にせず、あなた自身の判断で、出処進退を「決断」していただきたいと思います。

 

 国会議員の方々様、マスコミの方々様、公益NGOの方々様も、上記のように、本人の努力だけではなんともならない制度上の問題については、立法化したり、行政に改善を求めるよう、圧力をかけてくださればと思います。

 

 よろしくお願いいたします。